書評「デザイン思考」を超えるデザイン戦略 濱口秀司著

「デザイン思考」を超えるデザイン思考

■書評

図式化して思考の論理を整理する事が出来るので、自分の考えをまとめる事に際しても、外部に共有することに対しても説得力を持って話す事が出来る内容。ブレストをして良いアイデアを出すという所までは出来ていることが多いが、その後のアイデアをどの様にビジネスでの実践に持っていくかを論理的に説明していて理解を深くする事が出来る内容だった。書いていることはシンプルで実行可能なことが多いのでこの後実践する。他にも糸井重里さんと対談もしている記事を見つけたので理解を深めたいと思う。新規事業の立ち上げで様々な本を読んでいる中で見つけた本。Harvard business reviewでの記事をKindleで購入した。

■要約

「d」狭義のデザイン、商品やロゴ、広告や店舗における形や美的スタイル
「D」設計 ビジネスにおける問題解決やコンセプト・戦略・マーケティングの設計を指す

「ユーザー中心デザイン」→ニーズの本質を見つけてアーキタイプ(ひな形)をつくる。

その後、IDEOやZibaが異分野の人々が再現性のあるプロトコルを用いて解決しようとするもの
「デザイン思考」=『デザイナー以外』の為の「ユーザー中心デザイン」

①ニーズの本質をつかむ
②アイデアをたくさん出す
③アイデアを絞り込む

③は全員が賛成または反対するものではなく、そのアイデアが大好きな人と、大嫌いな人が戦う中から絞り込まれるもの。

デザイン思考の使い分け
「DTn」→Design Thinking driven by needs 改善 改良
「DTf」→Design Thinking driven by frameworks イノベーションをもたらす思考法

ⅰ「バイアスを破壊する」アイデアを生む
バイアスを視覚化して破壊する
図式化して、バイアスを取る。
アイデアを生み出すためには、思考モードを論理思考と非論理思考の中間にもっていくことが重要である。
structure(構造/論理) +chaos(混沌/直観)の中間であるストラクチャード・ケイオス(structured chaos)
・structere側→アイデアの信頼性、その再現性が高いことを求める。
・chaos側→面白ければよいという思考をする。

ブレスト時の脳の構造を分解すると、アイデア、切り口(perspective)、両社の連結という3つの要素しかない。

LEVEL1「I 2 I」Idea to Idea →Ideaを書き連ね、最も良いアイデアに投票して一番を決める。
LEVEL2「P 2 I」Perspective to Idea →アイデアを整理して、切り口を見つけ、そこからアイデアを広げる事。LEVEL1のアイデアの中から「一人用を家族用に切り替えた」「5つのパーツで作っていたのが1つで出来る」など、何らかの軸で面白い理由を明確にしてもらう。
「対象人数の単位を変える」「構成パーツの数を変える」といった軸から論理的に更なるアイデアを生み出す。
レベル1から「切り口」という抽象概念を可視化し、それをベースに考えるのがレベル2
LEVEL3 LEVEL2 から出た複数の切り口を組み合わせて構造化する事で、包括的なモデルを作る段階である。例えば、『対象人数の単位を変える』→「1人」と「多数」という軸、『構成パーツの数を変える』→「ゼロ」「無限」を両極とするパーツの数の軸を取る。
前者を縦軸、後者を横軸としてアイデア群を構造化する。
USBメモリーの例、『取扱データサイズ』→「大」「小」、『データの取り扱い体験』→「体感できる」「体感できない」(インタンジブル)という軸を取った。前者を縦軸、後者を横軸として二次元構造化を行った。
LEVEL3+その包括モデルを破壊する事により、新たなコンセプトを生み出すことが有る。
バイアスを構造化してそれを破壊することで①「見たこと、聞いたことがない」ものになり、論理と非論理の中央を通ることでその後の技術的な検討も含めて「②実行可能である」可能性の高いアイデアが生まれる。
実行しようとする場合、不確実なことに対して多くの人間は容易には合意できず、それが③議論を生む(賛成、反対)この時、皆が共通して持っているバイアスから離れるほど議論は深くなり、賛成と反対の対立が深まる。

ⅱ ニーズを付加する
ⅲ 意思決定を行う
不確実性を伴う意思決定が必須になる。
議論に結論が出ない。
その際のアプローチ
①β100→100人の潜在顧客に見せて、購入意向を持つか否かを観察するプロセス
これは「値段はいくらがいいですか」というような断片的なものではなく、」完全なる最終商品に見えるプロトタイプを作り
必要があれば、模擬店舗を設置してパッケージプロトタイプを置き、価格まで提示したうえで、そこに100人以上の潜在顧客を呼ぶ。
これで予想通り、もしくは予想を上回ったら推進を決定する際の自信になる。

②不確実性を取り込んだ定量分析
これはデシジョンマネジメントを用いた意思決定分析のこと。
価値判断基準、意思決定、不確実性の要素を構造的に整理し、それらの相関関係を明らかにしたうえで確立を用いた不確実性のアセスメントをベースにそのビジネスの正味現在価値(NPV=Net Present Value)を算出して明らかにする。

ストーリー価値
30年前→技術によって差別化を図る「機能価値」
20年前→デザイン価値
10年前→ストーリー価値
3つを取り入れないと世の中に受け入れられない
時系列
デザイン→機能→ストーリー
デザイン→一目でわかるか
機能→一言で言えるか
ストーリー→誰もが語れるか

■デザイン思考をビジネスで実行する為に

先ずは
改善や改良を目指すのであれば「DTn」
真にイノベーションを生み出したいのであれば「DTf」のプロトコルを選択すべき。 Design Thinking driven by frameworks(DTf)を意識する。
論理思考と非論理思考の中間、「structured chaos」でイノベーションを起こす

その為にはbiasの破壊が必要である。

①Idea to Idea アイデアを洗い出し、一番面白いアイデアを抽出 =Chaos の抽出

②Perspective to Idea 切り口を可視化する 軸の中で面白くする構造を考える(chaosにstructureの要素を加える)

③切り口を構造化する→軸の組み合わせを決めて二次元構造化をする(structured chaosの可視化)

④structured chaos のbiasを破壊する事が出来るアイデアの場所が分かる。「見たこと、聞いたことがないもの」+「実行可能である」アイデアを目指す。